【完】 SECRET♥LOVE 危険なアイツの危険な誘惑

窓の外に灯りが灯り(とも)はじめる。

残業で残っているのは数人だけ。

その中に、いつもなら1番に帰宅する琥珀もいた。


後で・・・の時間が刻一刻と近づいてくる。


 「木崎君達はもう帰って大丈夫だから。 私も部長からこの書類に印鑑もらったら帰るから。」

翡翠は人払いするように社員達を帰宅させる。
部長に会うだけなのにものすごい緊張を翡翠は感じていた。
一番近くにいた人。
でもけして手に入れる事の出来ない一番遠い人。

部長室のドアの前でそんな男の事を翡翠は思い浮かべていた。



 「失礼します。」

窓際に凛とたたずむ男は翡翠が現れるのを待ち望んでいた。

翡翠に微笑み歩み寄る。

 「昨日は突然の事ですまなかった。」

 「・・・・・」

頭を下げる男を目の前にして、喉まで出かけた言葉は「分かっていたことだから大丈夫」。

その言葉は決意に反する言葉で、声にしてしまってはいけない言葉。













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