【短編】阿呆と馬鹿の関係



「何が、何がもういいの?」


聞き直すあたしの目も見ずに、


「お前、俺の事好きちゃうやろ?」

「へ?」

「手繋ぐのも嫌がるし。
俺の話も聞いてへんし。
俺に距離置いてるのもわかってた」


何それ?


柚木が何言ってるのか意味わかんないよ。


手繋ぐのは、汗かいてたからで。

話を聞いてなかったのは、いっぱいいっぱいだったからで。


だけど距離ってなあに。


「時間が経てば上手くいくかなって思ってたけど。
お前、全然やん。もお、えぇよ。
付き合わせて悪かったな。
……別れよっか?」


え……。


柚木の横顔が、あまりにも真剣で。

あたしは、何も言えなかったんだ。


いや、本当は言葉なんていっぱいあった。

ただ、驚きすぎて意味がわからなかった。


だって、だって。


昔の彼女と仲良くした柚木が悪いんじゃん。

それにヤキモチ妬いただけなんだよ。

それなのに、どうして距離なの。


どうして別れるの。


立ち上がった柚木は、足早に人込に消えてしまったんだ。




< 47 / 58 >

この作品をシェア

pagetop