【短編】阿呆と馬鹿の関係
「何が、何がもういいの?」
聞き直すあたしの目も見ずに、
「お前、俺の事好きちゃうやろ?」
「へ?」
「手繋ぐのも嫌がるし。
俺の話も聞いてへんし。
俺に距離置いてるのもわかってた」
何それ?
柚木が何言ってるのか意味わかんないよ。
手繋ぐのは、汗かいてたからで。
話を聞いてなかったのは、いっぱいいっぱいだったからで。
だけど距離ってなあに。
「時間が経てば上手くいくかなって思ってたけど。
お前、全然やん。もお、えぇよ。
付き合わせて悪かったな。
……別れよっか?」
え……。
柚木の横顔が、あまりにも真剣で。
あたしは、何も言えなかったんだ。
いや、本当は言葉なんていっぱいあった。
ただ、驚きすぎて意味がわからなかった。
だって、だって。
昔の彼女と仲良くした柚木が悪いんじゃん。
それにヤキモチ妬いただけなんだよ。
それなのに、どうして距離なの。
どうして別れるの。
立ち上がった柚木は、足早に人込に消えてしまったんだ。