【短編】阿呆と馬鹿の関係
はぁーっと大きな溜息をひとつ吐くと、鞄を握るあたしの両手を大きな柚木の手で包まれた。
一瞬にしてボッと赤くなった顔が、熱い。
「じゃあ、どうしたん?」
上目遣いにあたしを覗き込むから、顔がもっともっと熱くなる。
ち、近くない?
固まったように動けない体と、泳ぎまくる目。
明らかに挙動不審なあたし。
それでも柚木の目は真剣で、笑わない。
今までなら
『お前、何キョドッてん』
なんて笑ってくれてたのに……。
こんな時でも、こんな風に思うからあたしは進歩しないのかもしれない。
ちゃんと言わなきゃ駄目な時は、恥ずかしくても言わなきゃ駄目なんだよね。
「あ、あのねっ。……恥ずかしかったの」
語尾につれて小さくなる声。
勢いで言ってしまおうと思ったものの。
恥ずか、くらいで本当に恥ずかしくなってしまったんだ。
「な、何が?」
首を傾げて、更に近くなる柚木の顔。
胸がドキドキと煩く騒ぎ出す。
ややや、やっぱ無理!
そんなサラッと言えてたら、今までだって言えてるよっ!
「なぁ、何が恥ずかしかったん?」
聞き返す柚木が覗き込んでも見えないくらいに下を向いて、首を振るだけ。