【短編】阿呆と馬鹿の関係
フワッと上に引っ張られた体は、何の抵抗もなく持ち上げられた。
「こっち来て」
そう言いながら、あたしの手を引きさっきのゲームセンター2階へと階段をのぼる。
理解の出来なまま、その繋がれた手だけを見つめていた。
どんどんと奥へ進み、柚木が押したドアには男女のマークが書いてあった。
中は個室が2つのこじんまりした綺麗なトイレで、さっきまで煩かったゲーム機の音がエコーがかかったように聞こえる。
手洗い台に腰掛け、その前にあたしを立たせ両手を握ったままの柚木。
狭くて、薄暗いトイレ。
柚木のヒザがあたしの太ももに当たる距離。
って、なんちゅーエロイ設定なのよ!?
もしかして、外で言うのが恥ずかしいって思ってココに連れて来てくれたの?
いやいや、こっちの方が100倍恥ずかしいって。
場所の問題じゃなく、柚木って存在が恥ずかしくさせるんだよ。
「俺の事、好き?」
え!?
そんな言葉が出てくるなんて思ってもみなかったあたしは、驚いて顔をあげた。
あたしを見つめる、哀しい目に慌てて目を逸らした。
胸が苦しくなる。
そして、うん。と頷いた。
「じゃあ、別れたくない?」
うん。
そう、また頷いたんだ。