【短編】阿呆と馬鹿の関係
「じゃあ、どうしたん?」
優しい声に、心が素直になる。
「手繋ぐのとか、阿呆って言ってくれない事とか……何か色々。
付き合う事、全部が……恥ずかしかったの」
ん。と相槌が聞こえる。
ちゃんと聞いてくれるんだ。そう思うと言える気がした。
「さっきの…先輩だって。
昔の彼女でしょ?
その人との約束だから、阿呆って言わないんだよね?
あたしだけに、じゃなくて」
そう言って、ゆっくり顔をあげると
「だからお前は、アホやねん」
と怒った口調で、あたしから目を逸らした。
「ぬぁ!? な、何それ!」
あたし、頑張って言ったじゃん!
それなのに、アアア、阿呆って何!?
阿呆って……あれ?
阿呆って言った。
「んな事、もっと早く言えやアホ!
んま、俺の気持ちもわからんと~」
へ?
ガックリと肩を落とした柚木の言ってる意味がわかんない。