【短編】阿呆と馬鹿の関係



「柚木?」

「お前、さっきの先輩との会話にヤキモチ妬いたん?」

「え、あーうん」

「そっか。そうか。へぇ~。そうなんや」

「ん? 柚木?」


俯いたまま、ワントーンあがった声に首を傾げた。


「俺と手繋ぐの恥ずかしかっただけ?」

「あ、うん」

「俺とデートすんのも恥ずかしかっただけ?」

「うん」

「俺がアホって言へんのも嫌やったん?」

「うん」

「さっき怒ってたんも、ヤキモチ?」

「うん。ってさっき言ったよね?」


んんん?
何だか柚木の声、嬉しそうじゃない?


そう思い、腰から曲げて柚木の顔を覗き込むとニヤニヤと笑っている。


はぁ!?


「何、笑ってんの!? ……ヒャッ」


捕まれた両手を退けようとしたら、突然柚木に抱きしめられた。


「ちょっ、ななな、何してんのバカ!」


離れようとしても、離してくれなくて。

胸はバクバクだし、全身が熱いし。


「俺さ、嫌われたんかと思った」


耳元で呟やかれた言葉に、動きを止めた。



< 54 / 58 >

この作品をシェア

pagetop