【短編】阿呆と馬鹿の関係
柚木から笑みが消え、少し照れた表情を見せて
「アホって言うんを止めようって思うくらいに、お前の事、す……」
その瞬間、トイレのノブが回る音が聞こえた。
慌てたあたし達は、2つある個室のひとつに入り、鍵を閉める。
やっばー。
トイレで、見つめ合う男女が居たら絶対不審に思われるよね。
別の意味で煩い心臓は、ドックンドックンと脈打つ。
ふぅーっと静かに息を吐いたあたしが気づいた事。
柚木の片腕で包まれた体。
顔をあげると柚木のドアップ。
耳にかかる柚木の息。
微かに聞こえる柚木の胸の音。
肌で感じる柚木の体温。
こんな密室で、この体勢って。
さっきよりエロイんすけどっ!
さっき抱きしめられたのとか。
さっき柚木が言おうとしてた言葉の続きとか。
冷静になって思い出すと、まじで顔から火出そうだよっ!
つーか、心臓に悪すぎるっ!
――カタンッ
ドアの閉まる音が聞こえた。
はぁあーーー。
出て行ったぁ。
一瞬にして気の抜けたあたし。