ヴァイブ
「寝てる。」

明らかに、寝てない事を知らせる。

「店、まだ営業中でないの?」

「響に任せて帰って来た。」

「何で?」

「七海が勝手に帰ったから。」

「は?勝手じゃないし、帰りたい時に帰っただけだし。」

「そっか。」


コチコチ…

時計の刻む音に

玲二の呼吸が混ざり合う。


「七海。」

「何?」

「真帆に…」

「お説教なら聞かない!」

玲二の言葉に先手を打つ。

「説教じゃないよ。
でも、七海。
むやみに、人を傷つける言葉はよくないよ。」

「説教じゃん。」

「違うって。注意。」

「同じだろ。」

玲二から離れようと前に体を動かすと

「何で逃げるの。」

そう言いながら、
グイッと私を引き寄せる。

「ホント、七海は子供だなぁ。そんなにむくれて。」

「むくれてねぇよ。」

「他にも理由はあるかもしれないけど、
俺が真帆と仲良くしてたからヤキモチ焼いたんでしょ?」

「っ誰がっ…!!」


勢いよく、振り返ると玲二の胸が目の前にある。


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