Neverland
昔は雄と同じマンションでなんとなくよく遊んだ記憶がある。
なつかしいなぁ
「ねぇ雄、覚えてる??」
そう言いかけた時、誰かが後ろから私の制服のブレザーを二回ひっぱった。
「…すみません。」
振り向くとさっきの小学生の男の子がちょこんと私を見ている。
私立の小学校は何処にあるんだろう?
一瞬でそんな事を思い、少し動揺したけど、とりあえず小学生と目線を合わせるため中腰になった。
「えっ、あっ、はいっ。どうかしたのかな?」
「袋、忘れて行きましたよ。」
差し出された黒い袋は私も同じものを持ってる。
「んっ?」
そういえば、いつも体操着を入れている鞄がない事に気がついた。
「えっ、あぁっ!!!どうもありがとう。」
「じゃあ、失礼します。」
「本当ありがとうね。」
もう一度お礼を言って、男の子は友達のほうへ走って行った。
「どうかしたのはお前の方だったな。」
雄がにやけながら振り向いていた。
「うるさいな。」
さっきの体操着の袋で雄の腰の辺りを叩いた。