MIND TERRITORY
山西が出て行くのを視線だけで見送った西条は、扉が閉められる瞬間にはっとした。

おや?確かに鍵は掛けた筈だが…
それともそんな些細な日常の行為にさえも、支障が出始めているのか…

西条が不思議に思うのも当然であった。
この研究所に赴任してから数十年。
自宅に帰るよりも、この個室で寝泊まりする事の方が、遥かに多い。
しかしその間、一度たりとも施錠を忘れた事など無いのだ。

そんな思案を巡らせていると、突然に強烈な睡魔が襲ってきた。

もう充分に寝た筈なのに…何故こんな…

考える間もなく、西条は眠りに落ちた。

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