MIND TERRITORY
欺瞞
翌朝になって目を覚ました西条は、研究室にある自分の席に着いていたが、特に何をするでもなく考え事をしていた。

いつの間に眠ってしまっていたのか…
夜中に目を覚ました時には、眠気などすっかり飛んでいたと言うのに。
ここ一連の不可解な出来事と言い、やはり楽観視しない方が良いかも知れん。
なるべく早く検査を受けられれば良いのだが。

そんな思案を巡らせていると、不意に扉をノックする音が聞こえた。
西条は我に返ったようにピクリと体を反応させると、ゆっくりと扉へ視線を送り応答した。

「どうぞ」

あまり訪問者などないので大方の察しは付いていたが、その予測通りに山西が姿を現した。

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