キレイをつくる保健室
あたしはコホンと一つ咳をした。

「塚田先生は花崎ナミが気になるのですね?」

「雨宮先生…」

「『ゆり先生』とお呼び下さい」

塚田はようやく汗を拭いた。額はビショビショ……、皮脂がハンカチにベッタリ付いている。


おおお……、嫌だ。

あたしも、思わずハンカチで自分の顔を軽く拭いてしまった。


「気になる生徒と言いますか…花崎は絵を描く才能があるんですよ」

そういえば、塚田は美術の教師だ。

「放課後には、よく美術室に来ていましたが……最近来ないので」


ふうん……、気になる子が自分のとこに来なくなって嫉妬してるのか。

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