龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】
「君だからって事じゃない。彼らはお互いの事も、僕の事も、彩名の事も嫌いだ。たぶん遺産相続とか、そういうものが絡んでいるんだろ」


遺産相続?

わたしの知らない世界だわ


「羽竜の親戚だけじゃ足りないかい?」

圭吾さんが優しく言った。

「悟たちの家の他にも腐るほどいて、みんな君を好きだよ」


「足りないわけじゃないの。他にもいとこがいるなら、仲良くできるのかなって思っただけ」


わたしは飲み終わったココアのカップをサイドテーブルに置いて、圭吾さんの方に手を伸ばした。


「泣きすぎて疲れちゃった」


圭吾さんはわたしの手を取って立ち上がらせた。


「少し昼寝した方がいいんじゃないか?」


そうね

魅力的な提案だわ


――なんなら一緒に


圭吾さんが耳元でそっとささやいた。

< 112 / 120 >

この作品をシェア

pagetop