龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】
三階について、導かれるままに圭吾さんの部屋のソファーに座った。


「目が真っ赤だ」


圭吾さんは顔をしかめて、親指でわたしの目の下をなぞった。

それから少し顔を傾けてわたしにキスをする。

わたしは両手を圭吾さんの首の後ろに回した。

ゆっくり押されて倒れ込んだ体の上に、圭吾さんが覆いかぶさった。

キスがだんだん熱っぽくなって、頭が麻痺したみたいにボウッとなる。

思わずため息混じりの声が漏れた。


その途端、ガバッと圭吾さんが起き上がった。


「ゴメン、少し……少しだけ仕事をしてきていい?」


圭吾さんの声は妙にかすれていた。


「今日はお休みだって言ったじゃない」


「ほんのちょっとの間だから」

わたしの髪を撫でる手が微かに震えている。

「頼む。一息つかせてくれ。今まで相手を無理矢理に抱いた事はないんだ」


えっ?

って事は、ついに圭吾さんをドキッとさせることができた?

でも、どこでそうなったのか、さっぱり分からない。


ああ……やっぱダメじゃん、わたし

< 114 / 120 >

この作品をシェア

pagetop