愛のない世界なんてない

**

ピンポーン…………

インターホンを押した。


…………………ガチャッ…

ドアが開いた。

「あ……雛、………………雛?」
雛が目の前にいなかった。

「雛ぁ」

「おばさん」
………………何かの聞き間違えかしら。
雛がおばさんなんて言葉言う訳ない。

恐る恐る下を見た。
それは雛じゃなくまだ小さく幼い子供だった。

「あら…………もしかして………」

「お母さんはいないよ」
やっぱり空君………。
雛にそっくり。
雛もよくこの子産んだわ。

「今誰がいる?」

「誰もいない」

「そっかぁ」
私は家にあがった。

「ねぇ、ママどこ?」

「えっとねぇ、多分ショッピング」

「あら…………そう」
雛がいなくてつまんない。
いるのは空君だけ。

私は暇すぎて本棚を見た。
ガラスには指紋が付いてないからきっと、貴重な本で手につけてないのだろう。


< 176 / 191 >

この作品をシェア

pagetop