愛のない世界なんてない
「……?」
私は咲ちゃんを目で見ている。
するとそこに尋斗が駆け寄る。
「だいじょーぶ?」
咲ちゃんは祐次に強く押されて派手に転けたらしい。
「ひ、尋斗君…………ありがとっ」
咲ちゃんはニコッと笑った。
それで尋斗も安心する。
「そうだ。尋斗、学校は?」
私は焼き餅を焼きながらも尋斗に言う。
「あっ!そうだ!」
尋斗は目をパッと開かせ急いで制服に着替える。
「あんたは行かないの?」
私が下目遣いで見ると祐次は睨む。
「行くわけねぇ。どうせ咲もいるし………っつかなんでてめぇ朝っぱらから人ん家来てんだよ!」
祐次は今頃気付き咲に強く言う。
「祐次に朝から会いたくて…………」
と咲は祐次に強く抱き着いた。
「………っぐっ!ぉ゛え゛!いてぇよ!」
祐次は苦しむ。
「ゆぅ~じぃ~」
咲は背伸びして祐次の頬に自分の頬を擦り付ける。
「今回ばかりはいいんじゃない?二人付き合ってるんだから……咲ちゃんに甘えさせてあげなよぉ」
尋斗が思いがけない事を言った。
「え!?」
私はびっくりして声をあげる。
「付き合ってんだよぉ~二人」
尋斗が笑いながら言う。
「んふふ~」
咲ちゃんが頬を赤くしながら照れる。
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