愛のない世界なんてない
「おい」
私と圭が喋ってると裕次が戻ってきた。
「ほれ、絆創膏」
ピローンと一枚持ってきてくれた。
「あ~、ありがとう」
私はその絆創膏を取って指に付けた。
「もう俺が何とかする」
と言って私と圭を思い切りどかした。
それで残りの破片を裕次が拾う。
「ちょっと裕次…………」
まだ残ってる破片は少なくない。
「裕次、落とした私がやるよ」
「俺が何とかするっつったじゃん」
「いいよ!私が全部やる!」
「俺がやる!」
裕次が何故か怒声をあげる。
だけど私は負けじと反論する。
「私が割っちゃったんだよ!?裕次怪我しちゃうじゃん!」
私が裕次をどかす。
「俺がやるからいい!」
「遠慮すんな!」
「お前まじで目ん玉潰すよ」
裕次は私の両腕を掴んで眉間に皺を寄せながら私の瞳を強く見る。
裕次に掴まれた腕がとてつもなく痛い。
真剣な眼差しをしている裕次。
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