愛のない世界なんてない





そして何時間か経ち、夜になった。
私は部屋に居る。
圭も部屋に居る。
夕方帰ってきた尋斗はお母さんの代わりにご飯を作っていた。

裕次は大丈夫だろうか…。
そればかり頭に過る。
心配で仕方がない。








――――コンコン



静かにノックが聞こえる。


「入っていいよ」
私はそう言った。
予想は圭だ!


「………華ちゃん」

私を呼んだのは圭じゃなく、尋斗だった。
「………尋斗……」
癒された。
「夕飯出来たよ」
「ありがとー。今行く」
「うん」
尋斗は部屋を出ていった。
それから私はその三分後くらいにリビングに来た。
「あら華芽ちゃん」
美知子さんが私の名前を呼んだ。
大体予想はついているぞ!

「……はい。なんですか?」
「ちょっと……」
美知子さんは手招きをした。
怒ってる様子はまったく無さそう。






「珈琲カップ…割っちゃったんだよね…?」
まさに予想的中。
「そ、そうです!すみません!」
私は謝った。
「いいのよいいのよ……で、どんな柄?」
「えっと……苺と林檎と葡萄の可愛らしい柄……」
私はそう言うと、美知子さんはうふふっと笑った。
「あれね!私は別に気にしないけど……ちょっと裕ちゃんがね……」
裕ちゃんとは裕次の事だ。
やっぱりなんかあったのか。
「何ですか!?何かあるんですか?」
私は聞く。
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