愛のない世界なんてない



「あの……………」
私は呼び掛けた。
「何?」
裕次はベッドに潜りながら返事をする。
「コップ…割っちゃって……………………すまん…………」



ん?
すまん?
すまん………
すまん!?
ちがったぁぁぁぁ
すまんとかオヤジじゃん!
すまんって、すまんって何だよ!?
大失敗だぁ…………。



「お前、珈琲カップの事、知ってんのか?」
「え?……………まぁ一応の事…」
「咲に言っといて」
裕次から衝撃な言葉。
「私が、言うの?」
祐次に聞く。
「うん…………」
「バカじゃないの………?」
私はこの口ではっきりと言う。
「は?」
裕次は起き上がった。
「自分の好きな人に、自分が自分で言わなくてどうすんのよ。一番身近な彼女なんでしょ?」
思ったことを言う。
「…………だって、咲に怒られるし…………」
「それが愛情みたいなもんじゃないの?」
私も詳しくは
愛情なんて言葉
分からない
だけどそれが
愛情なんじゃないの?



「………愛情?」
「自分の口で自分で言いなさい」
「待って。割ったのって………………」
肝心な事を忘れていた。
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