潮騒

途切れた糸

マサキといることを選ぶということは、レンを裏切るということ。


まるでそれを如実に表すように、あれ以来、彼からの連絡は一切なくなった。


話がしたいとメールを送ったところで、返信はない。


今日も携帯の画面を見つめながら、無意識のうちにため息が混じる。



「ルカさん、どうしたんですか?」


更衣室で、美雪がそんなあたしの顔を覗き込む。



「ん、ちょっとね。」


と、曖昧にだけ返した。


すると彼女は隣の椅子へと腰を降ろし、肩をすくめた様子で、



「何か最近、レンも不機嫌っぽくて。」


「………」


「ホント、喧嘩でもしたんなら早く仲直りしてくださいよね。」


喧嘩だとか仲直りだとか、無邪気な子供ならばどれほどそれが楽に出来るだろう。


けれど、簡単に解決するような問題ではないことはわかってる。


だからこそ、どうしたものかと思ってしまうのだ。



「まぁ、時間取れたら今度ちょっとレンの家にでも行ってみるよ。」


きっと今は、時間をおくべきなのだろう。


美雪が笑顔で頷いたので、あたしはポーチをバッグに戻して席を立つ。


それでも仕事を最優先にしなければならなかったのだ。


お母さんからのメールには、早急に金を用立ててほしい、という旨が綴られていた。

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