潮騒

花弁落ちて

マサキは明らかに神経を擦り減らした顔で、疲弊している様子が見て取れる。


毎日毎晩、一体どこで何をやっているのか。


ただ、それでも無理に時間を作っては、この部屋へと戻ってくる。



「何か無性にお前の顔が見たくなってさ。」


それは彼の口癖になりつつあった。


マサキは酔っ払っているのか玄関先で大の字になり、



「なぁ、明日はどっかに行こうか。」


「……え?」


「どっか、遠いとこが良いな。」


悲しそうなその瞳。


壊れてしまいそうだったのは、きっとマサキの方。



「そうだね、行こうか。」


いつも約束は、漠然としたものでしかない。


彼は冷えたフローリングを肌で感じるように目を瞑る。


気象庁が梅雨明けを発表したというのに、いつまで経っても雨は降り止まない。


まるでそれは涙。


この日々はいつまで続くのだろう。






ねぇ、チェンさん。


あなたは今、どこにいますか?

幸せなのですか?







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