潮騒
そんなあたしに、美雪は、



「もしかして、カレシと上手く行ってないんですか?」


マサキとのことだろう。


あれは別にカレシとかそういうのではなかったとはいえ、どきりとする。


あたしは息を吐いた。



「何かあの人、出ていっちゃったし。」


「……え?」


「終わりなんだってさ、もう。」


言葉にしてみれば、これほど簡単なことはない。


驚いた顔で見る彼女に、



「別にそこまでショックじゃないっていうか、これで良かったのかなぁ、なんて。」


「………」


「今は妙にすっきりしてて、涙も出ないよ。」


半分は強がりだが、でももう半分は本心だった。



「あたしもふたりの関係に疲れてる部分があったし、元々無理だったんだよね。」


言葉だけがべらべらと垂れ流れてくる。


きっとあたしは、何でもないことのように言いながら、現実を受け入れようとしているのだろう。


美雪はそれを制するように、



「ルカさん…」


頼りない声を掛けてきたが、



「それよりさ、早く食べないと時間なくなっちゃうよ。」

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