人魚姫は籠の中で。
「こないで…こないでよ!!」
ガタガタと体は震え、思い通りに動いてくれない。
そんな私を嘲笑うように、男は私の目の前に立った。
「…あなた、だれ…」
喉がカラカラで掠れた声しか出ない私を見て、
「まぁ…貴女を食べたくて食べたくて仕方がない獣、といったところでしょうかねぇ」
そう言い怪しく笑った瞬間、私の首元に顔を埋めた。
それは、一瞬の出来事で抵抗すら出来なかった。
私の首筋をゆっくりと舐める、その感覚にゾワッと冷汗が出て嫌悪感が募る。
ヴィアン…ヴィアン助けてよ…。