恋愛依存症
紀子の住んでいるアパートは、
2階建てが2棟並んで立っていて隣の棟からは家の中が丸見えだった。



隣の棟の二階に住む新婚さんの部屋は、

パパが怒鳴り始めると

必ず雨戸が閉まった。




誰も助けてはくれなかった。

大人たちは見て見ぬ振りで

誰も止めには入ってくれなかった…。



あまりに酷い時は仕方なく

紀子が勇気を振り絞り

パパに向かい突進し、

無我夢中で泣き叫んだ。


「パパ、やめて!!」

「お願い!私も謝るから!!」

「ママ謝ってるじゃん!もう終わらせようよ!!」

《神様お願い、助けて!!!》

いつも必死だった。



大体はこれで収まったが、

たまにとばっちりを受けて

紀子もはたかれた。

「うるさい!!子供は引っ込んでろ!!!」



《のりこ、何も悪くないのに…》

《悪いのはほんとはパパを怒らせたママなんじゃないの?》

《なんでお姉ちゃんは止めてくれないの?》

《なんでママはパパを怒らせるのよ!》

《パパを怒らせるママなんて大っ嫌い!!》
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