恋愛依存症
つまらなかった。
退屈だった。
《私は、何をしているんだろう?》
《こんな事でこの大事な6日間を終わらせてしまっていいの?》
分からなかった。
疲れもあって眠たかった。
来たことに後悔していた…
店を出て客と美咲さんを先にタクシーに乗せて帰らせた。
紀子もタクシーを止めようとしたが全く止まらない。
「チェッ!ほんとついてない…」
唾をはいた。
たった3日しかはたらいていないのに
気分はすっかり歌舞伎町の夜の蝶になっていた。
仕方なく、ぼーっと歌舞伎町の町を歩いた。
朝の5時を回っていた。
どこをどう歩いたのか、ふと、目の前の雑居ビルの中に入っていくスーツ姿の男性が目にはいった。
紀子はその男性の後をつけ声を掛けた。
「ねぇ、5千円で飲ませてくれない?」