恋愛依存症
「えっ?」
振り返ったその顔は思ったより童顔で若かった。

「あ、構わないけど、お姉さん何かあった?」

「べつに…」

紀子がそう答えると年下に見えるその男は

「じゃ、遊んでいきな。

楽しませてあげるよ」

と言って紀子の手をとりエレベーターに乗った。


彼の香水だろう。いい匂いがした。



「私、これしか持ってないから、先に渡しとくね」

紀子は、さっき客からもらったタクシー代の5千円札を彼に渡した。

「じゃあ、確かに」

男は受け取ると

「何があったか知らんけど、パーッと遊んじゃいな」

と言うと、紀子を抱き寄せキスをした。
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