愛して。Ⅱ ~不良俺様ボーイズ×絶世美少女~【完】
だけど、西城菜穂と言えばあの頃有名だった強者の一人。
獅龍の同盟であり、レディーストップと謳われた、ジュエルの総長。
つまり、俺達の先輩であり、尊敬すべき位置にいる人だった。
「志摩蓮斗です」
「郷田鷹樹です!」
「…国沢大河、です」
俺達の自己紹介にも、眉一つ動かさない。
沈黙に落ちそうな中、口を開いたのは俺。
「あ、あの!」
「何」
返って来た声に、思わず飛び上がりたくなる。
「何て呼んだらいいんスか?」
俺の問いに、少し驚いたように目を見開いて。
「菜穂でもなんでもいいけど」
菜穂は、余裕そうに薄らと笑った。
それから俺は、菜穂に猛アタックを開始した。
アドレスを聞いて、メール送って、電話して。
菜穂が倉庫に来る日は気合入れて髪セットしてみたり、積極的に話しかけてみたり。
あの頃の俺は、今考えると恥ずかしいくらい純粋で、羨ましいくらい真っ直ぐだった。