ONESTAR
「ナツキ君に出会わなければ、きっとあの子は今でも、いい子を演じていたんでしょうね。タカシが死んだ今でも…………。」

小刻みに揺れる花束。

騙され続けてきたこの人と、店長とでは、どっちが辛かったのかな。

「だから私、ナツキ君には頭が上がらないのよ。」

泣き笑いのように顔を歪め、店長の母親は墓の前に座り込んでいるであろうナツキの方へと視線を移す。

「ナツキ君だけが、母親の私にも出来なかった事をしてくれるの。カズシを救ってくれるのよ。」

俺を救えるのが、ねーちゃんだけのように?
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