愛花
―遺書―

お父さんへ


ごめんなさい。

ごめんなさい。

親不孝な娘です。

私をこの世に産んでくれた人にもごめんなさい。

今まで育ててくれたお母さん、ごめんなさい。

私にはあの人のいない日々は考えられない。

お母さんに二度と会わないって約束したのに顔を見たら会わずにいられない。

バカです。

わかっているのに…

あーやを、妖子をお願いします。

身勝手な頼みと思いますがお願いします。

あーやは一度は一緒に連れていこうと思ったのですが巡査さんに助けられた時からあの子には未来があるのだと思うようになりました。

あーやの未来を育ててやってください。

なにもかもが身勝手なお願いだと思いますが…ホントにごめんなさい。

すべて私が和哉を愛してしまったからです。

和哉の人生を狂わせてしまったのも私。

お父さんとお母さんを悲しませてしまったのも私。

そしてあーやを一人にしてしまうのも私。

私がいなければみんな幸せだったかもしれない。

ごめんなさい。

私には謝るしかない。

この世に私の幸せはもう無いのです。

私の手であーやを幸せにする事が出来ないのです。

私がこの世にいるかぎりあの奥さんの怒りは治まりません。

あーやの事はたぶんわかってないと思います。

私だけがいなくなれば大丈夫だと思います。

お父さん、あーやをお願いします。

絵を描けなくなってしまったあの人と私は先に旅立ちます。

親不孝ばかりでごめんなさい。
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