愛花
゛私はおじいさんと結婚する前から好きな人がいたんだ。その人は建築現場で働いていた。精悍な顔立ちでちょっと見は怖い感じの人だった。でも昔は親の決めた人と結婚しなくちゃならなかったんだ。

おじいさんも他に好きな人がいてね、私たちは偽装結婚することにしたんだ。

親には知らせずに式は挙げたくないって無理言って、籍だけ入れるってことで好きな人と住むことになった。

幸せだと思ってた。

親がいなくなれば堂々と結婚するつもりだったけど、自然の摂理でおじいさんの彼女に子供が出来た。

子供は私たちの子として育てるべきなのかどうかで悩んだ彼女は子供が産まれたその日に自殺した。

おじいさんの落胆ぶりは見ていられなかった。

そして私も同じ頃に妊娠して同じような悩みを抱えていた。

私たちは偽装結婚を後悔していた。

でも私の彼はすべてを清算して改めて私と結婚すると言ってくれた。二人で子供を育てようと言ってくれた。

そんなときに彼の工事現場で事故が起きた。

組んであった鉄骨が崩れてきて彼が下敷きになって亡くなってしまった…即死だった。

私はショックで流産してしまって、もう赤ちゃんが出来なくなってしまったの。
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表紙・目次

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