愛花

祖母の話

゛妖子、話しておきたいことがあるんだけど…″

祖父の四十九日忌が終わった日に祖母は言った。

祖父の位牌を置いてある部屋で私は祖母の話を聞いた。

゛妖子、私はもう長くないの。黙ってたけどおじいさんと私、どちらが早いかわからないところもあったんだけど、おじいさんを見送ることが出来て良かったと思っているの。″

゛…どこが悪いの?治らないの?″

祖母は静かにうなずいた。

゛療養型の病院に入ろうと思うの。費用がかかるからこの家を処分しようと思うんだけど…″

゛病院に入れば治るの?″

祖母は静かに首を左右に振った。

゛じゃあ、ずっと一緒にいたい。″

祖母は笑顔で言った。

゛ダメよ。私はあなたの本当のお祖母さんじゃないから…″

゛えっ…″

私は祖母が何を言っているのかわからなかった。

゛これからする話は私とおじいさんの昔話だからね。″

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