愛花
゛じゃあ先にバラしちゃおうかな″

いたずらっ子がこれからいたずらを楽しむように無邪気な笑いを浮かべながら仲矢さんは言った。

゛今度、今売れてる歌手やタレントのエッセー集を出すことになって、イラストをアヤちゃんに頼むことになったんだ。″

゛えっ?私が?ですか″

一冊を任せてもらえるという。

責任重大だ。

でも、初仕事だし、このまま頑張ってみるしかない。

一人で生きていくんだから…

゛頑張ります。色々アドバイス下さい。″

゛大丈夫だよ。今まで通りアヤちゃんのイラストでいいんだからね″

仲矢さんはやさしかった。

゛ユージはアヤにはやさしいんだ。ミヤビには邪険にするくせにぃ!″

゛そんなことないよ。ミヤビはわがままなんだよ。仕事中にも連絡してくるだろ。俺、編集長から叱られっぱなしなんだよ。俺だってミヤビと会いたいけど働かないと遊べないんだよ。″

雅美は膨れっ面ですねていた。

゛仲矢さん、ミヤビをよろしくお願いします。ミヤビもわがまましてたら仲矢さん、誰かに取られるよ。″

雅美はちょっとはにかんだように笑った。

私はそんな仕草の出来る雅美が可愛いと思った。
< 43 / 70 >

この作品をシェア

pagetop