愛花

一人暮らし

新居は今度通う学校の近くで自然たっぷりの小さな家だった。

ちょっと歩くと川が流れていて河川敷では子供たちが野球やサッカーをしていたり家族連れが散歩に来ていたり、のどかな雰囲気がするところだった。

荷物を運び込んで片付けをしていると仲矢さんが雅美と訪ねて来た。

゛アヤ!来たよ!手伝うことある?″

雅美はいつも明るく元気だ。

仲矢さんは後ろからあらわれ、
゛ミヤビ、一応俺の担当の先生なんだからさ。頼むよ。″

゛私…が先生?″

゛そうだよ。先生よろしくお願いしますよ。編集長からまだ連絡ない?うちの専属のイラストレーターとして契約してもらう話。″

私は呆気にとられていた。

゛まだ何も聞いてないです。″

゛あれ?昨日の朝礼で言ってたから俺の知らないとこで契約も終わったと思ったからすねてたのに…さ。″

仲矢さんはちょっと照れて頭を掻いている。

゛もしかして祖母が?″

゛あっ!そうか。お祖母さんが来られ時にそんな話が出て、契約は本人が決めるようにって言われてたから。まだなんだ。″

゛編集長は契約したつもりで昨日あんなこと言ったんだ。″

゛えっ?何かあるんですか?″

仲矢さんはいたずらっ子のような笑みを浮かべていた。

私は雅美と顔を見合せた。
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