愛花
久しぶりに小学校に行ってみた。

シスターの顔を見たくなった。

もう教師はやめて教会におられた。

゛なつかしいわね。お元気?″

゛ご無沙汰してます。シスター、お体大丈夫ですか?″

歳をとられた…

゛寄る歳には逆らえません。あなたと出会ってからでも10年以上の年月が過ぎています。私はもうおばあちゃんですよ。″

いつもの優しい微笑みで迎えてくださる。

゛そうそう、あなたのお祖母様からあなたのイラストの載った本を送っていただきました。あなたは素直だから気持ちがよくわかります。好きな人が出来たのね。″

驚いた。

゛わかるんですか?″

゛あなたの絵を何年見てきていると思ってるんですか。素敵な恋だといいんですが…とお祖母様が心配しておられました。私も少し心配していたところでした。そこへ訪ねてきてくれたのは神のお導きだと思います。話して行きなさい。″

私は涙が止まらなくなった。

シスターは優しく肩を抱いてくれた。

昔、私に絵を教えてくれた時のように優しかった。

私は今の恋を語り始めた。

シスターは最後まで聞いてくれた。

゛幸せにはなれないかもしれないわね。失うものが大きいから。話を聞くくらいいつでもどうぞ。気持ちが楽になるでしょう。″

シスターは最後まで優しかった。
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