双華姫~王の寵姫~
王の言葉は絶対である。王が有栖川の家に何も言わないと言った以上、証拠がない紗里にはどうする事もできない。





那智の元に王は通っていない、那智を追い出すなら今しかないと思っていた紗里は顔色がないくらい真っ白な顔をしている。





そして次に王が放った言葉に紗里は顔色どころか、心底心が冷えた。





「しかし後宮とは怖い所だな。有栖川の姫のもとにも毒入りの贈り物や暗殺者がきていると聞く。少し調べ後宮の警護を強化するとしよう」





どこから聞いたのか王は那智の状況を知っている。



それは紗里だけでなくあらゆる家が那智に刺客を放ったせいでもあるが、紗里の頭には自分がした事しかなかった。




調べられたら終わるのは自分だ。しかし紗里自身が怖いと訴えた手前、調べるのを止めてくれとは言えない。



警護も強化されれば、今以上に那智を暗殺する事は難しくなる。





そんな紗里を王は冷めた目で見ている。極秘裏に調べはするが、表立って後宮を調べるなど初めから王は思っていなかった。




ただ今回の自分の言葉で紗里がしばらくでも大人しくしていてくれればそれで良いのだ。




紗里の姿を見る限り少しの間は大人しくしているだろう。そう思い王は立ち上がる。





「だいぶ震えているな。風邪かもしれぬし、余は今日は部屋に戻る。ゆっくり休め」

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