それでも、まだ。


―――――――――

親友が死んだ。


いや、正しくは殺された、だ。



『結菜………』




3ヶ月前、結菜は自宅で殺された。



…強盗及び殺害。



本当に酷い事件だった。
許せなかった。




警察はすぐに犯人を捜索したけれど、犯人は見つからなかった。



それどころか、ある日を境に、捜索さえやめてしまった。



マスコミもそうだ。

最初はあんなに騒いでいたくせに今ではニュースにも出ない。


こういう事件の被害者たちは、みんなこのような気分になるのだろうか。


最初は世間の話題に引っ張り凧になり、その後何も新しい情報がなかったら興味を失っていく。


もう知りたくないとでも言うかのように。


事件があったことさえもなかったことにするかのように。



…石井結菜が世間から消されてしまったかのように。



それがとても許せない。


そして何も出来ない自分が1番許せない――…。



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