時を止めるキスを


そしてさらに遡ること、およそ1分前。——冒頭の暴言が生まれるキッカケを作ったのもそんな私。


かたや、なおも憤然としているのが、同じ会社の同期であり受付嬢を務める円佳だ。


入社当時から仲の良い彼女に対し、一昨日の件をサラリと報告をしたつもりだったが、どうやら甘かった模様。


この店で定番の胚芽ブレッドの特製サンドウィッチと、すっきりした甘さのバニラ・ラテに手をつける前に、恐ろしい顔へと変化した彼女は普段の上品さからすっかり遠ざかっていた。


制服時代はギャル誌がバイブルだったという円佳だが、大学入学時にスタイル・チェンジしてからは、どこから見ても綺麗なオネエさんにしか見えない。


今日だって、綺麗なうなじを見せたフルアップ・ヘアは色っぽく、落ち着いた色味のスーツ・スタイルも会社の顔に相応しい雰囲気を放っている。


そんな彼女をもってしても、いまの顔つきでは一気にイメージ崩壊しかねない。


「あー本気でムカつく!このまま殴りこみに行く?」


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