時を止めるキスを


「いやいや!円佳が行っちゃダメだって!」

「ええー」


“それなら、知り合い辿っても良いけど?”と、口角を上げて一笑をしながら、とんでもない策略を打ち出した彼女。


さらに手元に置いてあったスマホに手を伸ばしたため、なぜか私が慌てて引き止めている始末。


「もー、何で藍凪(あいな)はそんな冷静なワケ?ムカつくでしょ?」

なおも釈然としないようだが、手にしたスマホはそのままバッグに仕舞い、足を組み替えながらこちらに聞いてくる。


「うーん、冷静っていうか、」

「私ならオトシマエつけさせるけど?
それで貰った物は速攻で処分して、金目の物は質屋に売りに行って換金する」

「オトシマエって……」

確かに処分方法は勉強になったが、はじめのフレーズに戦慄を覚えた。それを笑顔でさらりと言いのけるのだから。


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