時を止めるキスを
だって、その“事柄”があまりに突飛なモノすぎて、私自身が事態を上手く呑み込めていないし、同僚である彼女に告げるのは時期尚早。——結局、これも言い訳かとひっそり嘆きながら……。
どこか清々しい気持ちで休憩を終えた私が職場に戻ると、さっそく電話が鳴ってすぐさま業務を再開した。
役員秘書は重役に合わせて動くものであり、本来ならばお昼の時間帯に休憩が取れるのも珍しい。
悶々としながら出社していた分、それが解消された今はある意味ラッキーなのだろう。これもズバズバ言ってくれる円佳のお陰だ。
「かしこまりました、その旨お伝えいたします。失礼いたします」
大阪支社長から常務宛の用件を受け賜わったのち静かに受話器を置くと、続けざまにスケジュールの方に追加をした。
次から次へと予定が入り、時間や日程に変更の出る役員の傍らで補佐していると、端から見るよりも大変だと心から思う。
本来ならあまり関わることの少ない彼らの下で働ける環境は、様々なものを吸収させて貰える絶好の場。これからはもっと資格取得に積極的になって、仕事に必死で打ち込まなければ……。
「藍凪さんすいません、今よろしいですか?」