時を止めるキスを


「これが理由?」

折角の美人度を台無しにするような険しい顔で反芻したため、宥めるように小さく笑って頷いた。


「割り切ってますから」

「え?どういう意味?」

言葉足らずの言い方には、やっぱり納得していない様子だ。


「大丈夫です。もうすぐケジメつけますから」


聡い彼女はもう察しているはず。……私とチーフのふしだらな関係に。


私の突然の宣言に驚いたようで今度は彼女の方が、「え?」と困惑した表情に変わっていた。



「私が悪いんです。あの優しさに甘えていた、……どうしようもなくズルい女なんです。
だから柚さん、きちんと話せるようになるまで……もう少しだけ、待って貰えますか?」


この1ヶ月のあいだでドラゴンと寝てしまったのは6回。


拒否しなければいけなかったのに、“今日が最後”とズルズルと誘惑にほだされて今に至る。



「人間はズルくて当然よ。それに辛い時は、甘えられる人がいるなら頼っていいの。
たとえそれがどんな方法だって、痛みが少しでも和らぐならね」

「すみません……」


< 57 / 97 >

この作品をシェア

pagetop