時を止めるキスを
壁に背をつけた男のせいで前に傾く体は、腰辺りにそえられた手で支えられているため、これ以上の距離が詰まることはない。
私はその腕から逃れるのもすっかり忘れて、白熱色の明かりの下、ただジッと無言で向き合う。
「気づいてたか?」
「なに、に」
これより先ーードラゴンには触れさせない。
この決意を揺らがせるかのように、片方の手が私の顎先をクイッと押し上げた。
思わずその手を払おうとしたが、今度は腰に据えていたもう一方の手によって阻まれてしまう。
「嘘を言う時、いつも瞬きの回数が増える」
「はあ?」
唇を噛み締めて眉根を寄せる私を一笑し、その顔を近づけながら言う意地の悪い男に苛立った。
それでも、相手の吐息が頬を撫でるほどの距離に縮まる中で、レンズの向こうの漆黒の瞳の魔力に敵う訳もない。