時を止めるキスを


いつか問い質すつもりでチェックしてあった証拠の数々。しかし、提示もまともに出来ないほど私の頭の中は混乱しきっている。



「チッ、それか……。妹だよ」


だが、苦虫を潰したような顔つきで言う彼に、「……へ?」と一気に気が抜けてしまう。



「俺の実家、神戸なんだよ。で、実家住まいしてる高校生の妹が読者モデルしてて、仕事がある時だけ俺んちに泊りに来てるってワケ。
結構遅くに出来た子で、俺とも随分年が離れてるし。……それで親父がちょっと、いやかなり過保護でさ。
ホテルに泊めるのも心配だから俺が送り迎えすれば安心だとか言って、勝手に決められたんだよ。未成年で心配になるのも分かるけどな。
ただ、アイツの性格上そんなヤワじゃねえし、ひとりで行動するのもいい社会勉強になると思うけど。まあ、もう少し庇護下にあるべきか……?」


「は、はぁ……」


「信じてねえの?何なら今、妹に電話かけてもいいけど?」


スーツのポケットからスマホを取り出した男に、ブンブンと大きく頭を振って牽制した。


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