時を止めるキスを



——時が止まるほどの甘いキスは、貴方への想いをより確かなものに変えるから。



「そういえば、どうして“今日”だったんですか?」


「うるさい同僚のせい、……あ、お陰か」


「それって、柚さんのこと?」

「——しかいねえ。覚悟しとけ、明日」

「柚さんにちゃんとお礼しましょうよ。——私を心配して下さる大事な先輩なんですから、チーフが怒られて下さい」

「……そーする」



これが出会いはどこにあるのか分からない説は本当だと、身を以て感じた私のささやかな体験談——


運命の出会いもひょんな進展にしたって上手くいくかは自分次第で、運任せにしていたらダメらしい。


せっかくの実が熟しきって落ちてしまう前に、自らもぎ取りにいく覚悟も時には必要だと知ったから。


それと、少しの勇気と素直な心は女子の必須アイテムとか。これからもふたりで実を育むために……。



  【時を止めるキスを。★終】


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