人心は、木漏れ日に似る
ふふ、と沖下は笑う。


「そうね、でも……目立つ子よ。

会えば分かると思う。

いつも胸を張っていて、……よく言えば堂々としているから」


静かな廊下。

ロビーの喧騒は去った。

生徒達は、ロビー脇の階段を上って寝床へ戻ったのだろう。


通路にまで飛んでいたスリッパが片方、気付かれることなく放置されていた。

1人はぐれても探されることのない、江上冬乃のように。



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