人心は、木漏れ日に似る
不機嫌そうな低い声を気にしたふうもなく、ほのみは海里を見上げた。

丸い目には、明かりが映り込んでいて、ちかちかと白い光を放っている。


「なんでって……
今頃1人で迷ってるんだよ?

疲れてるだろうし、心細いだろうし……
早く見付けて、安心させたいから」


海里を見るほのみの、真っ黒な瞳。

海里の心を射抜く、恐ろしい瞳。

だが、その瞳に浮かぶ白い光は、まるで闇夜に浮かぶ灯のようで、不思議と海里を安心させた。


「見付けてやらないとな」

ほのみの言う通りだと、海里は思う。

困っている奴は、助ける。
そこに、特別な理由はいらない。

ただ当たり前のことを、当たり前にしているだけだ。



< 81 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop