ただ今、政略結婚中!
「キスのやり方も知らない女が俺の妻になるのか、親父もよく見つけたものだな」


手の甲で口を拭う隼人さんはほくそ笑みながら言う。


「キ、キスのやり方ぐらい知ってます!突然だったから驚いただけです!それに知らない人とキスなんて無理です!」


「知らない人ではないだろう?お前が小学生の頃、会ったんじゃないのか?ああ。そう言えばちょこちょこと後を付いてきたのを覚えている」


覚えていると言われて驚いた。


「親父に遊んでやれと言われて、正直面倒だった」


「はぁ?」


あの頃、そんなことを思われていたと知り、驚いたと同時に恥ずかしくなった。


この人、苦手だ……。


言葉が出ないでいると、隼人さんが出口に向かう。


ドアを開ける前に彼は振り返ると、


「化粧を直してもらうんだな」


そう言うと、ポケットから真っ白なハンカチを出して自分の口を拭きながら出て行った。






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