ただ今、政略結婚中!
「アキさん、私はまだお客様に挨拶をしなくてはならないから、のちほどお話しましょう」


えっ?


すぐに隼人さんとの関係を話してくれて帰れるかと思っていた。


「まだお客様をお出迎えしなくてはならないからお話しできないの。お食事でもなさっていてね?きっとパーティーを楽しんでいただけると思うわ。有名人ばかりだから、あぁ、でもサインをもらうなんて野暮なことはしないでね?」


ふふっと妖艶な笑みを浮かべてエステルは別のお客様の方へ近づいて行った。


エステルの後姿を見て、重いため息が漏れる。


早く帰りたいのに……自分だけがこの場所にそぐ合わなくて居心地が悪い。


でも、パーティーのホステスだから仕方ないか……少しだけ待とう。


それにしても彼女の着ているドレスが気になる。


素材はもちろん、彼女の方がお金をかけられたドレスだけれど、デザインが似すぎている。


私はハッとなった。


もしかして……クローゼットを見られた?


ドレスは1着しかなかったからな……。


でも彼女のドレスはファビアンのものだ。


彼女ほどの人ならば同じようなドレスをわざわざ着なくてもたくさんの素敵なドレスを持っているはず。


同じなのは単なる偶然だよね?着る理由がわからないし。


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