ただ今、政略結婚中!
ニューヨークへ来なければ良かった……。


敵うわけがない……あの人と私では……。


戸籍上は妻だけど、隼人さんの心はあの人のもの。


「ぅ……く……」


これ以上惨めになりたくない。


泣いてはダメ。


泣かないように違うことを考えようとしても涙は止まらず、唇を噛み、嗚咽を堪えた。


気持ちを落ち着けるために、しばらくシャワーに打たれていた。



******



放心状態で手元のバスタオルで身体を拭いていると、白いサテンのローブが目に入る。


彼女のものは身に着けたくなかったけれど、身体を覆うものはバスタオルか、このローブしかない。


仕方なくローブを身に着け、放心状態のままバスルームを出た。


ベッドの上に置かれた申し訳程度の生地で作られたレースのランジェリーと、どぎつい紫色のドレスが置かれている。


ドレスを手にしてみると、ビスチェのような身ごろ。


肩を露出するドレスに嫌悪感を抱く。


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