ただ今、政略結婚中!
『お前の女から誘って来たんだ!』


男が両腕を顔の前でクロスさせ、かばいながら叫ぶ。


『ふざけるな!そんな女ではない!ここから出て行け!』


隼人さんの怒りに満ちた荒々しい声がした。


そして、男は逃げるようにして出て行った。



******



意識がはっきりしてきて慌ててローブを手繰り寄せると、のろのろと身体を起こした。


頬が熱をもったみたいに熱く、こわばった痛みを感じて顔を顰めた。


顔を顰めると唇の端が傷む。


指でその場所を探り当て拭うと、指に血がついてきた。


「大丈夫か?」


隼人さんが近づいてきた。


「……」


隼人さんの顔がまともに見られない。


「なぜされるままになっていた?俺に抵抗したようになぜしなかった!?」


苦しげな声。


くしゃくしゃになったシーツを見つめていると、きれいに折りたたまれた清潔なハンカチを口に当てられた。


ハンカチを持つ隼人さんの手を払いのけていた。


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