ただ今、政略結婚中!
「……帰ろう」


隼人さんは、私の手をつかむと歩き始めた。


1階に降りる階段の踊り場で、男の会話する声が聞こえてきて、足が止まる。


あの男に会うかもしれないと思うと足がすくんでしまう。


再び震えと吐き気に襲われる。


もう二度と会いたくない。


「安心しろ、奴は出て行った」


私の考えを見越して、隼人さんが言う。


ホッとして肩を撫で下ろすと、ふわっと私の身体が浮いた。


ぇ……。


隼人さんが私を抱き上げて、お姫様抱っこのまま階段を降りようとしていた。


「お、降ろしてください」


「車まで歩くのは無理だろう?」


震えてどうしようもない身体を、隼人さんは気づいたんだ。


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